障害を理由とする差別の解消の推進に関する 利府町職員対応要領 平成28年9月 利 府 町 目  次 1 はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2 対象範囲 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 (1)対象となる職員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 (2)事務事業を委託や指定管理等で行う場合の留意事項 ・・・・・・・・・・・・・・・ 1 (3)民間事業者と同じ分野の事業を行う場合の留意事項 ・・・・・・・・・・・・・・・ 2 3 不当な差別的取扱いの禁止及び合理的配慮の提供 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 (1)対象となる障がい者 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 (2)不当な差別的取扱いの禁止 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2   【基本的な考え方】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2   【正当な理由の判断の視点】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3   【不当な差別的取扱いの具体例】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 (3)合理的配慮の提供 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4   【基本的な考え方】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4   【状況に応じた対応】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4   【意思の表明】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4   【環境の整備との関係】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5   【過重な負担の基本的な考え方】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5   【合理的配慮の具体例】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 4 障害特性に応じた対応【厚生労働大臣福祉事業者向けガイドラインより】 7   【基本の対応】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7   【視覚障害(視力障害・視野障害)】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7   【聴覚障害】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8   【肢体不自由】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9   【失語症】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9   【高次脳機能障害】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10   【内部障害】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10   【知的障害】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10   【発達障害】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11   【精神障害】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 5 相談体制の整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12   【相談を受ける際の留意事項】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 6 推進体制の整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13 7 職員の研修、監督者の責務 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14 参  考 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15 ※本文中の「障害」の「害」は、法律や政府等の基本方針、固有名称などで定め られている表記については「害」を使用し、それ以外の部分についてはひらがな の「がい」で統一しています。 P1 1 はじめに                        すべての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性 を尊重し合いながら共生する社会の実現につなげることを目的として、「障害を 理由とする差別の解消の推進に関する法律」(平成25年法律第65号。以下「法」 という。)が平成28年4月1日から施行されました。 これまで、本町では、「たがいに支えあい ともに生きる こころ豊かなまちづ くり」を基本理念とした「利府町障がい者計画・第4期障がい福祉計画」を策定 し、障害のある人もない人も、すべての町民がお互いの個性と人格を認め合い、 ともに支え合い、協力し合って生活できる心ゆたかな地域社会づくりを目指し、 障がい福祉施策を推進しているところです。 法では 地方公共団体における対応要領の策定は努力義務とされていますが、法 の趣旨や本町の姿勢を庁内に浸透させ、障害を理由とする差別の解消に向けた取 り組みを積極的に推進するために、本要領を策定することとしました。 本対応要領の多くは、すでに実践されているものも多くありますが、改めて障が い者に対する不当な差別的取扱いの禁止及び合理的配慮の基本的な考え方を示す ものです。 2 対象範囲 (1)対象となる職員 本対応要領の対象となる職員は、利府町役場として統一的な考え方のもとで必要 な対応、取り組みができるよう、また、服務規律の一環として定めるもので、全 部局の職員(臨時的任用職員、非常勤職員を含む)を対象とします。 (2)事務事業を委託や指定管理等で行う場合の留意事項 本町の事務又は事業の一環として実施する業務を事業者に委託又は指定管理等を している(する)場合に、提供される合理的配慮の内容に大きな差異が生じ、障 がい者が不利益を受けることのないよう、受託者又は指定管理者等に対し、当該 事業分野に係る主務大臣の対応指針を遵守することに加え、必要に応じて、本対 応要領を踏まえた合理的配慮の提供を求めるものとします。 <補足> 福祉分野や教育分野の事業者の対応指針には、当該事業分野における「不当な差 別的取扱い」及び「合理的配慮」の具体例が記載されています。 P2 福祉分野:「障害者差別解消法 福祉事業者向けガイドライン」 教育分野:「文部科学省所管事業分野における障がいを理由とする差別の解消に      関する対応指針」 (3)民間事業者と同じ分野の事業を行う場合の留意事項 本町が民間事業者と同じ分野の事業を行う場合は、当該事業分野の事業者に向け て主務大臣が定めた対応指針に留意してください。各対応指針には、「不当な差 別的取扱い」及び「合理的配慮」の具体例が記載されています。 3 不当な差別的取扱いの禁止及び合理的配慮の提供 (1)対象となる障がい者 不当な差別的取扱いの禁止及び合理的配慮の提供等の対象となる障がい者は、 「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)、その他の心身の機能の 障害(以下「障害」という。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継 続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」です。 また、法では、対象者を「障がい者」としていますが、外見からでは「障がい者」 であることが分からない場合や怪我をして一時的に身体が不自由な方、妊婦の方、 その他行政機関に慣れておらず困っている方もいます。ここでいう障がい者は何 らかの心身の機能の障害があって、社会的障壁(バリア)により日常生活又は社 会生活の制限を受ける方を広くとらえるもので、障害者手帳の所持者に限りませ ん。また、女性の障がい者は、障害に加えて、女性であることにより、さらに複 合的に困難な状況に置かれている場合があること、子どもの障がい者は、成人の 障がい者とは異なる支援の必要性があることにも留意する必要があります。   (2)不当な差別的取扱いの禁止 【基本的な考え方】 法は、障がい者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、サービス等の提 供を拒否する又は提供にあたって場所・時間帯などを制限する、障がい者でない 者に対しては付さない条件を付するなどにより、障がい者の権利利益を侵害する ことを禁止しています。 なお、障がい者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置 は、不当な差別的取扱いではありません。 P3  したがって、障がい者を障がい者でない者と比べて優遇する取扱い(積極的改善 措置)、合理的配慮の提供による障がい者でない者との異なる取扱い、合理的配 慮を提供するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障がい者に障害の 状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たりません。 【正当な理由の判断の視点】 不当な差別的取扱いとは、その事務事業について、本質的に関係する諸事情が同 じであるのに、正当な理由なく、障がい者を障害の無い者よりも不利に扱うこと です。 正当な理由に相当するのは、障がい者に対し、障害を理由として、サービスや各 種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われた ものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合です。 具体的な検討をせずに拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことがないよう、 個別の事案ごとに、障がい者及び第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保 全、事業の目的・内容・機能の維持、損害発生の防止など)の観点に鑑み、具体 的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要になります。 正当な理由があると判断した場合には、障がい者にその理由を説明し、理解を得 るよう努めます。 <補足> ○「客観的に判断する」とは、主観的な判断に委ねられるのではなく、その主張 が客観的な事実に裏付けられ、第三者の立場から見ても納得を得られるような 「客観性」が必要となります。 ○「正当な理由」を根拠に、法の趣旨が形骸化されるべきではなく、抽象的に事 故が危惧されるとか危険が想定されるといった理由により、サービスを提供しな いことは適切ではありません。 ○正当な理由を説明するに当たり、知的障害や精神障害(発達障害を含む。)等 により本人の理解が困難な場合は、必要に応じ、家族、介助者等の補佐を求める ことができるものとします。 【不当な差別的取扱いの具体例】 不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別事案ごとに判断されるこ とになります。次に記載した具体例については、正当な理由が存在しないことを 前提としていること、また、あくまでも例示であり、記載した具体例だけに限ら れるものではありません。 <具体例> ○障害を理由に窓口対応を拒否する。 ○障害を理由に対応の順序を後回しにする。 P4 ○障害を理由に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供等を拒む。 ○障害を理由に説明会、討論会等への出席を拒む。 ○事務又は事業の遂行上、特に必要でないにもかかわらず、障害を理由に来庁の 際に付添者の同行を求めるなどの条件を付けたり、特に支障がないにもかかわら ず、付添者の同行を拒んだりする。 (3)合理的配慮の提供 【基本的な考え方】 事務又は事業を行うに当たり、個々の場面において、障がい者から社会的障壁の 除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、障がい者の権利利 益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、必要かつ 合理的配慮を行う必要があります。 ただし、合理的配慮は、事務又は事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされ る範囲で本来の業務に付随するものに限られ、障がい者でない者との比較におい て同等の機会の提供を受けるためのものであり、事務又は事業の目的・内容・機 能の本質的な変更には及びません。 【状況に応じた対応】 合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に 応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障がい者が現に置かれて いる状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法については、「過重 な負担の基本的な考え方・・・P5」を考慮し、代替措置の選択も含め、相互理 解を通じ、柔軟に対応がなされるものです。また、合理的配慮の内容は、技術の 進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものであり、その提供に当たっては、 障がい者の性別、年齢、状態等に配慮するものとします。   【意思の表明】 意思の表明にあたっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮 を必要としている状況にあることを、言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大 文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、 障がい者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するもの を含む。)により伝えられます。また、障がい者からの意思の表明のみでなく、 知的障害や精神障害(発達障害を含む。)等により本人からの意思の表明が困難 な場合には、障がい者の家族、介助者等、コミュニケーションを支援する方が本 人を補佐して行う意思の表明も含まれます。 なお、意思の表明が困難な障がい者が、家族、介助者等を伴っていないことなど により、意思の表明がない場合であっても、当該障がい者が社会的障壁の除去を 必要としていることが明白であるときには、法の趣旨に照らし合わせれば、当該 障がい者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかける など、自主的な取り組みに努めることが望まれます。 P5  【環境の整備との関係】 環境の整備は、合理的配慮を必要とする障がい者が多数見込まれる場合や障がい 者との関係性が長期にわたる場合には、その都度の合理的配慮の提供でなく、環 境整備を考慮に入れることが重要になります。また、ハード面だけではなく、職 員に対する研修等のソフト面の対応や関係課等の連携体制を整えておくことも含 まれます。 <具体例> ○公共施設や公共交通機関におけるバリアフリー化をする。 ○意思表示やコミュニケーションを支援するためのサービスや人的支援をする。 ○円滑な情報の取得・利用・発信のための情報アクセシビリティを向上させる。 【過重な負担の基本的な考え方】 過重な負担については、個別の事案ごとに、次の要素等を考慮し、具体的場面や 状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要であり、過重な負担に当たる と判断した場合、障がい者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努め るものとします。 ○事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か) ○実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約) ○費用・負担の程度 ○事務・事業規模 ○財政・財務状況 【合理的配慮の具体例】 合理的配慮は、具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いもので す。次の具体例は、過重な負担が存在しないことを前提としており、また、あく まで例示であり、記載した具体例だけに限られたものではありません。 <具体例> ○段差がある場合に、車椅子利用者にキャスター上げ等を補助する段差スロープ を渡します。 ○配架棚の高い所に置かれたパンフレット等は取って渡します。パンフレット等 の位置を分かりやすく伝えます。 P6 ○目的の場所まで案内する際に、障がい者の歩行速度に合わせて歩いたり、前後 ・左右・距離の位置取りについて、障がい者の希望を聞いたりします。 ○障害の特性により、頻繁に離席の必要がある場合に、会場の座席位置を出入口 付近にします。 ○不随意運動(意志とは関係なく現れる異常運動)等により書類等を押さえるこ とが難しい障がい者に対しては、職員が書類を押さえたり、バインダー等の固定 器具を提供します。 ○館内放送で避難情報等の緊急情報を聞くことが難しい聴覚障害者に対しては、 手書きのボード等を用いて、分かりやすく案内し誘導します。 ○筆談、読み上げ、手話、点字、拡大文字等のコミュニケーション手段を用いま す。 ○会議資料等について、点字、拡大文字等で作成する際に、各々の媒体間でペー ジ番号等が異なり得ることに留意して使用します。 ○視覚障害のある委員に会議資料等を事前に送付する際には、読み上げソフトに 対応できるよう電子データ(テキスト形式)で提供します。 ○意思疎通が不得意な障がい者に対しては、絵カード等を活用して意思を確認し ます。 ○駐車場などで通常、口頭で行う案内を、紙にメモをして渡します。 ○書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、分かりやすい記 述で伝達します。本人の依頼がある場合は、代読や代筆といった配慮を行います。 ○比喩表現等が苦手な障がい者に対し、比喩や暗喩、二重否定表現などを用いず に具体的に説明します。 ○障がい者から申し出があった際には、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内 容が理解されたことを確認しながら応対します。また、なじみのない外来語は避 ける、漢数字は用いない、時刻は24時間表記でなく午前・午後で表記するなど の配慮を念頭に置いたメモを、必要に応じて適時に渡します。 ○会議等の進行に当たって、資料を見ながら説明を聞くことが困難な視覚又は聴 覚に障害のある委員や知的障害のある委員に対し、ゆっくり、丁寧な進行を心掛 けます。 ○会議等の進行に当たって、可能な範囲で職員等が委員の障害の特性にあったサ ポートを行います。 ○窓口等において、順番を待つことが苦手な障がい者に対しては、周囲の方の理 解を得た上で、順番を入れ替えます。 ○立って列に並んで順番を待っている場合には、周囲の方の理解を得た上で、当 該障がい者の順番が来るまで別室や席を用意します。 P7 ○スクリーン、手話通訳者、板書等がよく見えるように、スクリーン等に近い席 を確保します。 ○障がい者の来庁が多数見込まれる場合には、通常、障がい者専用とされていな い区画を障がい者専用の区画に変更します。 ○他人との接触、多人数の中にいることによる緊張等により、発作等がある場合、 当該障がい者に説明の上、障害の特性や施設の状況に応じて別室を準備します。 ○非公表又は未公表情報を扱う会議等において、情報管理に係る担保が得られる ことを前提に、障害のある委員の理解を援助する者の同席を認めることとします。 4 障害特性に応じた対応【厚生労働大臣福祉事業者向けガイドラインより】 障がい者と接する際には、それぞれの障害特性に応じた対応と個々の状態や必要 な支援を丁寧に確認し、適切な支援を行うことが必要です。次に、代表的な障害 特性と対応時に配慮すべき事項について簡単にまとめています。 【基本の対応】 ○不安を感じずに話しやすい雰囲気を感じてもらえるよう、笑顔で対応します。 ○障害の種類や内容を問うのではなく、「困っている内容」、「何を支援してほ しいのか」、「どのようなお手伝いが必要なのか」を本人に尋ねます。 ○コミュニケーションが難しいと思われる場合でも、「ゆっくりと」、「丁寧に」 、「繰り返し」相手の意志を確認します。 ○差別的な言葉、不快に感じられる言葉、子ども扱いしたような言葉は使わない ようにします。 ○障害の原因や内容等、必要のないことは聞かず、知り得た個人情報は、守秘義 務を順守します。 ○入口や受付付近で困っている方を見かけたら、積極的に声をかけます。 【視覚障害(視力障害・視野障害)】 <主な特性> ○視覚的な情報を全く得られない又はほとんど得られない人と、文字の拡大や視 覚補助具等を使用し、保有する視力を活用できる人に大きく分けられます。 (全盲、弱視といわれることもあります) ○視力をほとんど活用できない人の場合、音声、触覚、嗅覚など、視覚以外の情 報を手がかりに周囲の状況を把握しています。 P8 ○文字の読みとりは、点字に加えて最近では画面上の文字情報を読み上げるソフ トを用いてパソコンで行うこともあります。(点字の読み書きができる人ばかり ではない) ○視力をある程度活用できる人の場合は、補助具を使用したり文字を拡大したり 近づいて見るなどの様々な工夫をして情報を得ています。 <主な対応> ○音声や点字表示など、視覚情報を代替する配慮が必要です。 ○中途受障の人では、白杖を用いた歩行や点字の触読が困難な人も多いため留意 が必要です。 ○声をかける時には前から近づき、「 ○○さん、こんにちは。 △△です。」な ど自ら名乗ります。 ○説明する時には、「それ」、「あれ」、「こっち」、「このくらいの」などと 指差し表現や指示代名詞で表現せず、「あなたの正面」「 ○○くらいの大きさ」 などと具体的に説明します。 ○普段から通路(点字ブロックの上等)に通行の妨げになるものを置かない、日 頃視覚障害者が使用しているものの位置を変えないなど周囲の協力が不可欠です。 ○主に弱視の場合、室内における照明の状況に応じて、窓を背にして座ってもら うなどの配慮が必要です。 【聴覚障害】 <主な特性> ○聴覚障害は外見上わかりにくい障害であり、その人が抱えている困難も他の人 からは気づかれにくい側面があります。 ○声を出して話せる方もいますが、相手の話が聞こえていない場合があります。 ○補聴器や人工内耳を装用するほか、コミュニケーション方法には手話、筆談、 口話など様々な方法がありますが、どれか一つで十分ということではなく、多く の聴覚障害者は、話す相手や場面によって複数の手段を組み合わせるなど使い分 けています。 <主な対応> ○音声だけで話すことは極力避け、文字表示や要約筆記等、視覚的なより具体的 な情報も併用し、コミュニケーションをとる配慮が必要です。 ○スマートフォンなどのアプリに音声を文字に変換できるものがあり、これらを 使用すると筆談を補うことができます。 ○聞き取りにくかった場合は、推測せず、聞き返す、紙に書いてもらうなど、本 人の意思を確認します。 P9 【肢体不自由】 <主な特性> ○車椅子使用者にとっては、段差や坂道が移動の大きな妨げになります。 ○障害が重複する場合には、呼吸器を使用している場合もあります。 ○病気等による筋力低下や関節損傷などで歩行が困難な場合があります。 ○脳性マヒの方の中には、発語障害に加え、顔や手足などが自分の思いとは関係 なく動いてしまうため、自分の意志を伝えにくい場合があります。 <主な対応> ○段差をなくす、車椅子移動時の幅・走行面の斜度に配慮します。 ○車いすを使用している場合、立ったままで話をされると見下される感じがして 身体的・心理的に負担となる場合がありますので、かがんで目線をあわせて会話 します。 ○杖などを使用されている場合、滑りやすい床だと転びやすいので、雨天時など の対応が必要です。     【失語症】 <主な特性> ○音は聞こえるが「ことば」の理解に障害があり「話」の内容が分からない場合 があります。 ○単語や簡単な文なら分かる人でも早口や長い話になると分からなくなる場合が あります。 ○伝えたいことをうまく言葉や文章にできない。発話がぎこちない、言いよどみ が多くなったり、誤った言葉で話したりします。 ○文字を読んでも理解が難しい。 ○書き間違いが多い、また「てにをは」などをうまく使えない、文を書くことが 難しい。 <主な対応> ○表情がわかるよう、顔を見ながら、ゆっくりと短いことばや文章で、わかりや すく話しかけます。 ○一度でうまく伝わらない時は、繰り返して言ったり、別のことばに言い換えた り、また、漢字や絵で書いたり、写真・実物・ジェスチャーで示したりすると理 解しやすくなります。 ○「はい」「いいえ」で答えられるように問いかけると理解しやすい。 ○話し言葉以外の手段(カレンダー、地図、時計)など身近にあるものを用いま す。 P10 【高次脳機能障害】 <主な特性> ○すぐに忘れてしまったり、新しい出来事を覚えることが苦手なため、何度も同 じことを繰り返したり、質問したりします。 ○二つのことを同時にしようとすると混乱します。 ○主に左側で、食べ物を残したり、障害物に気が付かないことがあります。 <主な対応> ○自分でメモを取ってもらい、双方で確認します。 ○短時間なら集中できる場合もあるので、こまめに休憩等を取ります。 ○ひとつずつ順番に対応します。 ○左側に危険なものを置かないようにします。 ○感情をコントロールできない状態にあるときは、上手に話題や場所を変えてク ールダウンを図ります。 【内部障害】 <主な特性> ○心臓機能、呼吸器機能、腎臓機能、膀胱・直腸機能、小腸機能、肝機能、ヒト 免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能のいずれかの障害により日常生活に 支障があります。 ○疲れやすく長時間の立位や作業が困難な場合があります。 ○常に医療的対応を必要とする方もいます。 <主な対応> ○ペースメーカーは外部からの電気や磁力に影響を受けることがあるので、注意 すべき機器や場所などの知識を持つことが必要です。 ○排泄に関し、人工肛門の場合、パウチ洗浄等特殊な設備が必要となることへの 配慮が必要です。 ○呼吸器機能障害のある方は、慢性的な呼吸困難、息切れ、咳等の症状があるこ とを理解し、息苦しくならないよう、楽な姿勢でゆっくり話をしてもらうよう配 慮します。 ○常時酸素吸入が必要な方は、携帯用酸素ボンベが必要な場合があることを理解 します。     【知的障害】 <主な特性> ○概ね 18歳頃までの心身の発達期に現れた知的機能の障害により、生活上の適 応に困難が生じます。 P11 ○金銭管理、会話、買い物、家事などの社会生活への適応に対し、状態に応じた 援助が必要です。 <主な対応> ○言葉による説明などを理解しにくいため、ゆっくり、丁寧に、わかりやすく話 すことが必要です。 ○文書は、漢字を少なくしてルビを振る、文書をわかりやすい表現に直すなどの 配慮で理解しやすくなる場合があるが、一人ひとりの障害の特性により異なりま す。 ○写真、絵、記号などわかりやすい情報提供を工夫します。 【発達障害】 <主な特性> ○周囲の状況を読み取ることや、人の表情から気持ちを読み取ることが苦手です。 ○遠回しな言い方やあいまいな表現が理解しにくい方もいます。 ○順序立てて、論理的に話すことが苦手な方や礼儀正しく丁寧な表現をする方、 そわそわと落ち着かない様子の方もいます。 ○読むことや書くこと、計算することなどのうち、いずれかだけが難しいという 方もいます。 <主な対応> ○不安の強い方や、感覚が過敏な方もいるので、適度な声の大きさで、笑顔で対 応します。 ○抽象的な表現や否定的な言葉は苦手なので、具体的に「どうしたら良いか」を 伝え、また、紙に図や文字を書いて視覚的に説明すると理解しやすすくなります。 ○大勢の人がいる場所や狭い空間などでは、パニック症状を起こす方もいるので、 その場合は、場所を変え落ち着くまで時間をとり、落ち着いた後に再開するか、 日を改めるか、本人の意向を確認し対応します。 【精神障害】 <主な特性> ○統合失調症、うつ病、てんかん、アルコール依存症等精神障害の原因となる精 神疾患は様々であり、その障害特性や制限の度合いは異なります。 ○対人関係やコミュニケーションが苦手な方も多くいます。 ○病気のことを他人に知られたくないと思っている方もいます。 ○周囲の言動を被害的に受け止め、恐怖感を持ってしまう方もいます。 ○気が動転して声の大きさの調整が適切に出来ない場合もあります。 P12   ○認知面の障害のため、何度も同じ質問を繰り返したり、つじつまの合わないこ とを一方的に話す方もいます。 <主な対応> ○不安の強い方や感覚が過敏な方もいるので、適度な声の大きさで、笑顔で対応 します。 ○不安を感じさせないような穏やかな対応を心がけます。 5 相談体制の整備 障がい者及びその家族、その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相 談については、本町が所管する事務事業に関する相談を受けるものとし、その相 談の当該事務事業を所管する課等(以下「所管課等」という。)が受けることを 基本とします。 <補足> ○その他関係者とは、介助者、代理人等の相談を支援する方を指します。また 「障害を理由とする差別」とは、不当な差別的取扱いをすること及び合理的配慮 を提供しないことであり、環境の整備や制度の運用の在り方も視野に入れること になります。 ○本町の指定管理者や委託による事務事業、本町が指定や許認可等を行っている 事業者・施設に関する相談についても、「本町が所管する事務事業に関する相談」 として、本町で受けることとします。 ○本町の事務事業に関わらない事業者の対応などに関する相談については、その 事業者の所管課等が受けることとします。 【相談を受ける際の留意事項】 ○相談の方法は、面談や電話によるもののほか、Eメールやファックスでも受け 付けます。 ○相談を受ける過程においても、不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供 が求められます。 ○女性の相談者には女性職員が対応するなど、相談者の意向により可能な限り相 談者の性別に配慮する必要があります。 ○所管する事務事業に関する相談でない場合は、他の所管課等又は他の機関のし かるべき相談窓口につなぎます。その際には、「たらい回し」とならないよう丁 寧に対応する必要があります。 ○相談者の訴えをよく聴き、「障害を理由とする差別」をされている事象につい て、次のようなことを所管課等で検証・検討し、相談者に結果等を伝え、理解を 得るように努める必要があります。 ・所管する事務事業の在り方や関係職員の対応に何か問題があるかどうか。ある とすれば、それが何で、どのような原因・理由によるものか。 P13 ・やむを得ずサービスや配慮が提供できない場合は、客観的に説明できる「正当 な理由」や「過重な負担」があるか。 ・改善・解決(例えば、再発防止)に向けた方策や方向性は何か。 ・何ができて何ができないか(今はできなくても将来はどうか)。 ○相談者側に誤解等がある場合や求められた対応ができない場合も、丁寧に説明 する必要があります。 ○本町の事務事業に関連して、事業者・施設に関する相談を受け調整する場合も、 事業者側の事情について検証し、又は検証を求め、事業者等への指導も含め、必 要な対応をする必要があります。 <利府町の主な相談機関> 障がい者相談 【町社会福祉協議会】356-9060 毎月第4火曜日 【指定相談支援事業所 ひまわり】356-1334月〜金 行政相談 【町社会福祉協議会】356-9060 毎月第4火曜日 教育相談 【教育総務課】356-0783 月〜金 生活相談 【町社会福祉協議会】356-9060 毎月第4火曜日 人権相談 【町社会福祉協議会】356-9060 毎月第4火曜日 高齢者総合相談 【地域包括支援センター】353-7322 月〜金 健康相談 【町保健福祉課】356-1334 月〜金 消費生活相談 【産業振興課】767-2120 毎週火・金 子育て相談  月〜金 【子ども支援課】767-2193 【東部地区子育て支援センター「ペア・きっず」】767-8150 【子育て広場「十符っ子」(生涯学習センター1F)】767-2195 【菅谷台保育所(電話相談のみ)】349-0623 【子育て広場「ぽかぽか」(青山すぎのこ保育園内)】767-8841 【西部児童館「りふ〜る」】781-9895 【保健福祉課】356-1334 6 推進体制の整備 障害を理由とする差別の解消に向けた本町の取り組みについて、総務課及び保健 福祉課が庁内全体の統括的な役割を担います。 ○総務課の役割 ・国の基本方針の見直しや、不当な取扱い、合理的配慮の事例の集積等を踏まえ、 必要に応じて見直しをする P14 ・障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な庁内の取り組みの把握、管 理、連携、サポート ・職員の研修や啓発の推進 ・相談者が所管課等に相談しにくい場合の相談窓口 ・調整の困難な相談事案について所管課等のサポート ○保健福祉課の役割 ・障害を理由とする差別の解消の推進に関する必要な施策、取り組みの企画推進 ・障害を理由とする差別の解消の推進に関する情報の収集及び提供 ・相談者が所管課等に相談しにくい場合の相談窓口 ・調整の困難な相談事案について所管課等のサポート ○各課等の役割 ・環境の整備及び取り組みの推進 ・各課等における職員への啓発や研修の推進 ・総務課、保健福祉課との連携、情報交換 7 職員の研修、監督者の責務 障害を理由とする差別の解消の推進を図るため、職員に対し、本対応要領の 周知徹底と必要な研修・啓発を行います。また、職員のうち、「監督者」(班長 職以上の地位にある者。)は、障害を理由とする差別の解消を推進するため、次 の事項を実施することとします。 ○日常の執務を通じた指導等により、障害を理由とする差別の解消に関する認識 を深めさせる。 ○障がい者等から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に関する相談等があ った場合は、迅速に状況を確認し、適切に対処する。 ○合理的配慮の必要性が確認された場合、監督する職員に対して、合理的配慮の 提供を適切に行うよう指導等を行う。 参考 ■障害特性や特性ごとの配慮事項等 【内閣府】公共サービス窓口における配慮マニュアル‐障害のある方に対する 心の身だしなみ -      http://www8.cao.go.jp/shougai/manual.html 【厚生労働省】みんなのメンタルヘルス      http://www.mhlw.go.jp/kokoro/ P15 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 (平成二十五年法律第六十五号) 目次  第一章 総則(第一条―第五条) 第二章 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(第六条) 第三章 行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するた めの措置(第七条―第十三条) 第四章 障害を理由とする差別を解消するための支援措置(第十四条―第二十 条) 第五章 雑則(第二十一条―第二十四条) 第六章 罰則(第二十五条・第二十六条) 附則 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な 理念にのっとり、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享 有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障さ れる権利を有することを踏まえ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する 基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消す るための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、 もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人 格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資すること を目的とする。 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各 号に定めるところによる。 一 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身 の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的 障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態に あるものをいう。 二 社会的障壁 障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁 となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。 三 行政機関等 国の行政機関、独立行政法人等、地方公共団体(地方公営企 業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第三章の規定の適用を受ける地方公共 団体の経営する企業を除く。第七号、第十条及び附則第四条第一項において同 じ。)及び地方独立行政法人をいう。 P16 四 国の行政機関 次に掲げる機関をいう。 イ 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄 の下に置かれる機関 ロ 内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九 条第一項及び第二項に規定する機関(これらの機関のうちニの政令で定める機 関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。) ハ 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機 関(ホの政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関 を除く。) ニ 内閣府設置法第三十九条及び第五十五条並びに宮内庁法(昭和二十二年法 律第七十号)第十六条第二項の機関並びに内閣府設置法第四十条及び第五十六 条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)の特別の機関で、 政令で定めるもの ホ 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関 で、政令で定めるもの ヘ 会計検査院 五 独立行政法人等 次に掲げる法人をいう。 イ 独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一 項に規定する独立行政法人をいう。ロにおいて同じ。) ロ 法律により直接に設立された法人、特別の法律により特別の設立行為をも って設立された法人(独立行政法人を除く。)又は特別の法律により設立され、 かつ、その設立に関し行政庁の認可を要する法人のうち、政令で定めるもの 六 地方独立行政法人 地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二 条第一項に規定する地方独立行政法人(同法第二十一条第三号に掲げる業務を 行うものを除く。)をいう。 七 事業者 商業その他の事業を行う者(国、独立行政法人等、地方公共団体 及び地方独立行政法人を除く。)をいう。 (国及び地方公共団体の責務) 第三条 国及び地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、障害を理由とす る差別の解消の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施しなければ ならない。 (国民の責務) 第四条 国民は、第一条に規定する社会を実現する上で障害を理由とする差別 の解消が重要であることに鑑み、障害を理由とする差別の解消の推進に寄与す るよう努めなければならない。 (社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の整 備) P17 第五条 行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要か つ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の 整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならな い。 第二章 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針 第六条 政府は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を総合的か つ一体的に実施するため、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方 針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。 2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。 一 障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向 二 行政機関等が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関す る基本的な事項 三 事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基 本的な事項 四 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項 3 内閣総理大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければなら ない。 4 内閣総理大臣は、基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、 障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、 障害者政策委員会の意見を聴かなければならない。 5 内閣総理大臣は、第三項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞な く、基本方針を公表しなければならない。 6 前三項の規定は、基本方針の変更について準用する。 第三章 行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を 解消するた めの措置 (行政機関等における障害を理由とする差別の禁止) 第七条 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として 障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を 侵害してはならない。 2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的 障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施 に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならない よう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の 実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。 (事業者における障害を理由とする差別の禁止)   P18  第八条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない 者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはな らない。 2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を 必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が 過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障 害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について 必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。 (国等職員対応要領) 第九条 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、基本方針に即して、第七条 に規定する事項に関し、当該国の行政機関及び独立行政法人等の職員が適切に 対応するために必要な要領(以下この条及び附則第三条において「国等職員対 応要領」という。)を定めるものとする。 2 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、国等職員対応要領を定めようと するときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必 要な措置を講じなければならない。 3 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、国等職員対応要領を定めたとき は、遅滞なく、これを公表しなければならない。 4 前二項の規定は、国等職員対応要領の変更について準用する。 (地方公共団体等職員対応要領) 第十条 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、基本方針に即して、第 七条に規定する事項に関し、当該地方公共団体の機関及び地方独立行政法人の 職員が適切に対応するために必要な要領(以下この条及び附則第四条において 「地方公共団体等職員対応要領」という。)を定めるよう努めるものとする。 2 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、地方公共団体等職員対応要 領を定めようとするときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映 させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。 3 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、地方公共団体等職員対応要 領を定めたときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。 4 国は、地方公共団体の機関及び地方独立行政法人による地方公共団体等職 員対応要領の作成に協力しなければならない。 5 前三項の規定は、地方公共団体等職員対応要領の変更について準用する。 (事業者のための対応指針) 第十一条 主務大臣は、基本方針に即して、第八条に規定する事項に関し、事 業者が適切に対応するために必要な指針(以下「対応指針」という。)を定め るものとする。 P19 2 第九条第二項から第四項までの規定は、対応指針について準用する。 (報告の徴収並びに助言、指導及び勧告) 第十二条 主務大臣は、第八条の規定の施行に関し、特に必要があると認める ときは、対応指針に定める事項について、当該事業者に対し、報告を求め、又 は助言、指導若しくは勧告をすることができる。 (事業主による措置に関する特例) 第十三条 行政機関等及び事業者が事業主としての立場で労働者に対して行う 障害を理由とする差別を解消するための措置については、障害者の雇用の促進 等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)の定めるところによる。 第四章 障害を理由とする差別を解消するための支援措置 (相談及び紛争の防止等のための体制の整備) 第十四条 国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの 障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるとともに、障害を理由とす る差別に関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう必要な体制の整備 を図るものとする。 (啓発活動) 第十五条 国及び地方公共団体は、障害を理由とする差別の解消について国民 の関心と理解を深めるとともに、特に、障害を理由とする差別の解消を妨げて いる諸要因の解消を図るため、必要な啓発活動を行うものとする。 (情報の収集、整理及び提供) 第十六条 国は、障害を理由とする差別を解消するための取り組みに資するよ う、国内外における障害を理由とする差別及びその解消のための取り組みに関 する情報の収集、整理及び提供を行うものとする。 (障害者差別解消支援地域協議会) 第十七条 国及び地方公共団体の機関であって、医療、介護、教育その他の障 害者の自立と社会参加に関連する分野の事務に従事するもの(以下この項及び 次条第二項において「関係機関」という。)は、当該地方公共団体の区域にお いて関係機関が行う障害を理由とする差別に関する相談及び当該相談に係る事 例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取り組みを効果的かつ円 滑に行うため、関係機関により構成される障害者差別解消支援地域協議会(以 下「協議会」という。)を組織することができる。 2 前項の規定により協議会を組織する国及び地方公共団体の機関は、必要が あると認めるときは、協議会に次に掲げる者を構成員として加えることができ る。 一 特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定 非営利活動法人その他の団体 二 学識経験者 三 その他当該国及び地方公共団体の機関が必要と認める者 P20 (協議会の事務等) 第十八条 協議会は、前条第一項の目的を達するため、必要な情報を交換する とともに、障害者からの相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由と する差別を解消するための取り組みに関する協議を行うものとする。 2 関係機関及び前条第二項の構成員(次項において「構成機関等」という。) は、前項の協議の結果に基づき、当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由と する差別を解消するための取り組みを行うものとする。 3 協議会は、第一項に規定する情報の交換及び協議を行うため必要があると 認めるとき、又は構成機関等が行う相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障 害を理由とする差別を解消するための取り組みに関し他の構成機関等から要請 があった場合において必要があると認めるときは、構成機関等に対し、相談を 行った障害者及び差別に係る事案に関する情報の提供、意見の表明その他の必 要な協力を求めることができる。 4 協議会の庶務は、協議会を構成する地方公共団体において処理する。 5 協議会が組織されたときは、当該地方公共団体は、内閣府令で定めるとこ ろにより、その旨を公表しなければならない。 (秘密保持義務) 第十九条 協議会の事務に従事する者又は協議会の事務に従事していた者は、 正当な理由なく、協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 (協議会の定める事項) 第二十条 前三条に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事 項は、協議会が定める。 第五章 雑則 (主務大臣) 第二十一条 この法律における主務大臣は、対応指針の対象となる事業者の事 業を所管する大臣又は国家公安委員会とする。 (地方公共団体が処理する事務) 第二十二条 第十二条に規定する主務大臣の権限に属する事務は、政令で定め るところにより、地方公共団体の長その他の執行機関が行うこととすることが できる。 (権限の委任) 第二十三条 この法律の規定により主務大臣の権限に属する事項は、政令で定 めるところにより、その所属の職員に委任することができる。 (政令への委任) 第二十四条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項 は、政令で定める。 P21 第六章 罰則 第二十五条 第十九条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以 下の罰金に処する。 第二十六条 第十二条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、 二十万円以下の過料に処する。 附 則 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、平成二十八年四月一日から施行する。ただし、次条から 附則第六条までの規定は、公布の日から施行する。  (基本方針に関する経過措置) 第二条 政府は、この法律の施行前においても、第六条の規定の例により、基 本方針を定めることができる。この場合において、内閣総理大臣は、この法律 の施行前においても、同条の規定の例により、これを公表することができる。 2 前項の規定により定められた基本方針は、この法律の施行の日において第 六条の規定により定められたものとみなす。  (国等職員対応要領に関する経過措置) 第三条 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、この法律の施行前において も、第九条の規定の例により、国等職員対応要領を定め、これを公表すること ができる。 2 前項の規定により定められた国等職員対応要領は、この法律の施行の日に おいて第九条の規定により定められたものとみなす。  (地方公共団体等職員対応要領に関する経過措置) 第四条 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、この法律の施行前にお いても、第十条の規定の例により、地方公共団体等職員対応要領を定め、これ を公表することができる。 2 前項の規定により定められた地方公共団体等職員対応要領は、この法律の 施行の日において第十条の規定により定められたものとみなす。  (対応指針に関する経過措置) 第五条 主務大臣は、この法律の施行前においても、第十一条の規定の例によ り、対応指針を定め、これを公表することができる。 2 前項の規定により定められた対応指針は、この法律の施行の日において第 十一条の規定により定められたものとみなす。  (政令への委任) 第六条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措 置は、政令で定める。 P22  (検討) 第七条 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、第八条第二 項に規定する社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮の在り 方その他この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるとき は、その結果に応じて所要の見直しを行うものとする。