教育長室から

更新日:2026年09月30日

第2回 PISA2025の結果とメディアコントロール

9月8日に学習到達度調査(PISA)の結果が公表されました。

この調査は、国際機関の経済協力開発機構(OECD)が91ヶ国・地域の15歳の子どもたちを対象として、3~4年ごとに実施しているものです。日本は科学的活用力、読解力、数学的応用力の3分野全ての平均得点で、OECD加盟国38ヶ国中で1位でした。

しかし、新聞記事などをよく読んでみると習熟度が最も低い層の割合が増加してしまっていることなど、課題もあるようです。

もっとも気になったのは、平日の余暇でSNS(交流サイト)を閲覧する時間が日本は平均で2.3時間だったのに比べ、OECDの平均は2.8時間だったという点です。日本の数字も決して少なくないのですが、OECD平均はさらに0.5時間(=30分)多いということになります。

冒頭で触れたOECDの3分野の平均得点は「地滑り的」と表現されるほど低下しています。もちろん因果関係は複合的なものですが、SNS閲覧時間の長さが無関係とは思えません。世界の複数の国で子どもたちに対してSNS閲覧を禁止・制限する動きがあるのも道理です。どうやら日本は時間が多少短めで下げ幅が少なかったので結果的に1位だった、というのが実態のようです。習熟度が最も低い層の割合が増加しているのも日本だけではないのでしょう。

 

さて、多くの方はここまで、学力のこととしてお読みなのだと思います。もしかすると、うちの子どもはスポーツで頑張ってもらうから構わないといったお考えの保護者もいるかもしれません。でも、考えてみてください。1日に2時間以上もSNSに取られてしまうのなら、失われるのは勉強時間だけでなく睡眠時間や理解力・集中力も同様です。どんなスポーツでもルールを理解してプレーの意味を考えないと、どこかで上達は止まります。それ以前に、視力が落ちないか、注意が散漫になって怪我しないか、そこから気にならないでしょうか。

いずれにせよ、各校で取り組んでいるメディアコントロールによってこの時間をいくらかでも減らすことが肝要です。この2.3時間は「平日の余暇」、つまり学校外の時間帯です。だからこそ、学校での指導と歩調を合わせ、保護者の皆様もスマートフォン等の使い方やルールについて、ぜひ一度お子さんと話し合ってみていただきたいと思っています。

 

最後に。今年度も東北大学応用認知神経科学センターの榊浩平先生にメディアコントロールについてご講話いただく学校があると聞いています。榊先生への感謝とともに、ぜひ私も拝聴したい旨、この場にて申し上げる次第です。

 

【略歴】

・平成8年4月 文部省採用(宇都宮大学)

・平成23年4月 国立大学法人弘前大学研究推進課長

・平成25年8月 文部科学省初等中等教育局教科書課課長補佐

・平成29年9月 大分県宇佐市教育委員会教育長

・令和2年4月 国立大学法人長崎大学研究国際部長

・令和4年4月 大阪府堺市教育委員会事務局 学校教育部長

・令和5年4月 文部科学省初等中等教育局視学官

・令和6年4月 高知県須崎市教育委員会教育長

・令和8年4月 現職

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