硯沢窯跡
硯沢窯跡は、大沢窯跡、春日大沢瓦窯跡、大貝窯跡などとともに春日窯跡群を構成している窯跡の一つで、三陸自動車道むすび丸春日パーキングエリア付近にありました。
硯沢窯跡

「宮城郡」と刻書が見て取れます。発見された資料の中では国内最古と考えられます。

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「みヤギ―」のモデルにもなりました。
硯沢窯跡からは、奈良・平安時代の窯跡が多数見つかっています。
なかでも、8世紀前半の須恵器(すえき)窯跡からは、「宮城郡」や「宮木」と刻書された須恵器が見つかり、宮城郡の存在を示す最古の資料として町指定文化財に認定されています。

「宮木」と刻書が見て取れます。
これまでは西暦766年の記録が最古とされてきましたが、この窯跡は8世紀前半頃のものとされていますので、少なくとも8世紀前半には宮城郡が設置されていたことを示す貴重な資料となりました。
これらの他にも、当時の役所などで使われていたとされる「円面硯(えんめんけん)」という硯などが見つかっています。
8世紀前半は多賀城に政庁が設置された時期でもあり、生産の一大拠点としてここで生産された瓦や須恵器などが当時の都市部に運ばれていたと考えられます。
その他、横口付木炭窯という特殊な構造の窯跡も発見されており、この形の窯跡の発見は国内最北のものとなる貴重な発見となりました。

横口付木炭窯跡は中国地方など西日本で多く発見されています。
東北地方では福島県いわき市などで発見されていますが、宮城県内では山元町の内手遺跡と硯沢窯跡のみの発見となっています。
当時の窯は斜面に対して垂直に作られることがほとんどですが、横口付窯は斜面に対して平行に作られ、画像のように手前側に作業スペースのような平場が作られるのが特徴です。
横口付木炭窯が見つかる場合、多くは製鉄炉跡などの設備も同時に見つかりますが、硯沢窯跡では発見されませんでした。
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更新日:2025年03月24日